光を背負う、僕ら。―第1楽章―
気を付けなければいけないと思って、ポーカーフェースを保っていたのに…。
あたしの固い決意と努力は、哀れにも水の泡となった。
心中では、これからどうしようかという不安が波のように押し寄せてくるばかり。
こんなにもたくさんの人――しかも音楽に詳しい人ばかり――が集まる場所で、笹川詩織との関係がはっきりとばれてしまったのだ。
しかも、自分の口から言ってしまうという形で。
これから先のことを考えると、頭がズキズキと痛んでそれを拒む。
だけど…何とかしないと…。
「…ずっと、会いたいと思っていたんだ」
学園長が、長年恋い焦がれていた人にやっと会えたような声で言ったその言葉に、誰もが驚いた様子で反応する。
学園長はたったのその一言で、あたしに集まりかけていた注目を見事に全て自分に引き付けた。
学園長が故意にそれを狙っていたわけじゃないと分かっていた。
だけど注目を集めてしまうことを恐れていたあたしには、好都合の展開だった。
だけど同時に、また謎な学園長の言葉に頭を抱える羽目になる。