光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「君は覚えていなくても、私はずっと君のことを覚えていたよ。 …詩織さんの娘だからね」
学園長は今日最初に会った時のように、また懐かしむようにあたしを見ていた。
…何故だろう。
学園長にそういう表情で見られると、急に胸が苦しくなる。
刹那の苦しみなのに、とてももやもやする。
ただ、名前の分からない感情が心を支配していた。
「せっかく久しぶりに会えたんだ。 君とはもう少し話をしたい」
「えっ…」
学園長の突然の一言。
あまりにも唐突で思いも寄らないその一言に、あたしの思考回路がすぐにパニックを起こす。
「長く話し込んでしまったけれど、今は体験入学の最中だ。 これ以上二人だけで話しているのは、他の生徒達に迷惑だろう?」
学園長は丁寧に言葉の意味を説明してくれる。
だけどあたしが本当に知りたかったのは、あたしと学園長が話す、その理由だった。