光を背負う、僕ら。―第1楽章―



学園長は『他の生徒達に迷惑』と言ったものの。



その肝心な他の生徒達だって、あたしと同じでこの場の展開についてこれていないようだ。



その証拠に、みんなの表情はぽかんとした間抜けな顔になってしまっている。



この状況を理解出来ないのは当たり前だよね。



いきなりあたしの母親が笹川詩織だと分かった上に、学園長と昔からの知り合いらしいということが発覚したんだもん。



しかも『もう少し話がしたい』と学園長に言われたばかり。



あたしだって一気にいろいろなことが起こって頭の中を整理しきれていないのだから、他の人達が把握しきれないのは当たり前といえる結果だった。




「…では、佐奈さん」


「あっ、はい…」



余りにも悩み過ぎて、思わず項垂(うなだ)れてしまっていた首をのっそりと上げる。



学園長はにっこりと笑窪を作って笑った。



「体験入学が全て終わったら、是非学園長室に来てくれないかな?」


「……、えっ?」



数秒遅れて、やっと声が出た。



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