光を背負う、僕ら。―第1楽章―



これはただの予想だけど。


お母さんのことが話題になるような気がしてならない。



こんな形で秘密がみんなにもばれてしまった今、お母さんの話題はただの苦痛にしかならないはずだ。



だって既に、胸が締め付けられたように痛い…。



だから、

――断ろう。



それが混乱する頭で必死に導き出した、精一杯の答え。




「あの、学園長――」


「おっと、もうこんな時間か」



あたしが懸命な努力でやっと口を開いたのに、振り絞った声は見事に学園長の言葉と重なってしまう。



学園長は左腕にはめているいかにも高級そうな腕時計で必死に時間を確認する。



「実はこの後、来客があるんだ。 滝川先生、いきなりで悪いが私はここで失礼するよ」


「えっ、ええ…」



滝川先生も、急な展開についていくのに苦労していたのだろう。



突然声をかけられて、生返事しか出来ていなかった。



滝川先生の方を向いていた学園長が、くるりと回って再びあたしを見る。



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