光を背負う、僕ら。―第1楽章―
ザワザワザワザワ…
体験入学が終わると、中学生達は講堂の出口に流れ込むようにように一斉に歩いていく。
あたしも明日美や流歌達と一緒に歩いていこうと思って一歩踏み出す。
だけど、途中で止めた。
…だって。
今切り出さなかったら、いつまでもみんなとぎくしゃくしたままのような気がしたから。
「…みんな、ちょっといい?」
震える唇で、必死に振り絞った声。
そんな声に、同じ吹奏楽部のみんながゆっくりと振り返る。
振り向いたみんなの表情は、何処か真剣だった。
……あぁ。
みんなはずっと、あたしから話を切り出すのを待っていたのかもしれない。
そしてみんなも、気持ちの準備をしていたんだ。
振り返ってあたしを見るみんなの表情からは、そんなことが自然と伝わってきた。
一度深呼吸をして、再び口を開く。
「学園長が言ってたこと…とか。 ちゃんとみんなに話したいの。 …聞いてくれる?」
流れるように固まっていた中学生達は、知らぬ間に姿を消していた。
あたし達しかいないこの広大な講堂では、か細い声でもよく響く。