光を背負う、僕ら。―第1楽章―



あたし達は再び講堂の席に着いて、話をすることになった。




話を切り出したものの、何処で話そうかと迷っていたとき。



たまたま講堂の鍵を締めに来た滝川先生が、雰囲気を悟って「まだ居ても大丈夫です」と言ってくれたんだ。



全ての話を同じように聞いていた滝川先生だからこその行動だったと思う。



あたしは滝川先生の言葉に甘えて、さっそく講堂で話を始めようと決意した。



だけどいざ話をしようと口を開いた瞬間。



あたしはとんでもない重要なことを忘れていることに気付く。



「…あ、どうしよう」


「えっ、何が?」



いつもの調子で尋ねてくる明日美にちょっとホッとする自分がいた。



だけどすぐに、落ち着きを無くした自分が戸惑い出す。



「学園長に呼ばれてたこと……忘れてたの」


「……あ」



あの場にいた明日美は、しっかりと学園長の言葉を聞いていただろう。



その証拠に、明日美が苦笑いをしながらあたしを見ている。



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