光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「みんな少し待ってて。 学園長に、少し遅れてから学園長室に行きますって伝えてくるから」



もう来客が帰ったのかして、学園長はさっきの最後の挨拶の時同じようにこの講堂にいた。



だからきっと、まだそんなに遠くには行っていないはず。



もしかすると、今から追いかければ見つけられるかもしれない。



あたしは少しでも急いで学園長を追いかけようと、喋りながら早くも歩き出していた。



だけどそんなあたしの足は、思わぬ人物に止められることになる。



「待って、佐奈ちゃん」



講堂の出入口に向かって足を向けていたあたしは、掛けられた声で急ブレーキをかける。



何事かと思って振り向くと、ちょうど鈴木先生があたしに歩み寄ってくるところだった。



鈴木先生……?



鈴木先生がいきなりあたしを呼び止めた理由が分からなくて、あたしはきょとんとしながら鈴木先生を見る。



すると鈴木先生はにっこりと笑って口を開いた。



< 457 / 546 >

この作品をシェア

pagetop