光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「みんな少し待ってて。 学園長に、少し遅れてから学園長室に行きますって伝えてくるから」
もう来客が帰ったのかして、学園長はさっきの最後の挨拶の時同じようにこの講堂にいた。
だからきっと、まだそんなに遠くには行っていないはず。
もしかすると、今から追いかければ見つけられるかもしれない。
あたしは少しでも急いで学園長を追いかけようと、喋りながら早くも歩き出していた。
だけどそんなあたしの足は、思わぬ人物に止められることになる。
「待って、佐奈ちゃん」
講堂の出入口に向かって足を向けていたあたしは、掛けられた声で急ブレーキをかける。
何事かと思って振り向くと、ちょうど鈴木先生があたしに歩み寄ってくるところだった。
鈴木先生……?
鈴木先生がいきなりあたしを呼び止めた理由が分からなくて、あたしはきょとんとしながら鈴木先生を見る。
すると鈴木先生はにっこりと笑って口を開いた。