光を背負う、僕ら。―第1楽章―
でもその一方で、やっぱり申し訳ない気持ちが残っていた。
今からみんなに話すこと、鈴木先生にもちゃんと聞いて欲しかったから。
だって鈴木先生にも、たくさんの嘘をついてきた。
あたしのピアノを褒めてくれた時も、笹川詩織のことを聞かれた時も。
ずっとずっと、白(しら)を切ってきてしまった。
あの日、お母さんのことを話しながらピアノを褒めてくれたとき。
本当は「ありがとうございます」って笑顔で答えたかった。
秘密が全てばれてしまった今こそ、ちゃんと鈴木先生にも真実を話したい。
素直に、お礼を言いたい。
さっき見た鈴木先生の後ろ姿を瞼の裏に浮かべながら、強くそう思った――。
今までのみんなの優しさ。
初めてみんなの前でピアノを弾いた時のこと。
頭の中では色々な情景が描かれながら、決意を込めてぎゅっと拳を作る。
そしてあたしは再び席に着いて、ゆっくりと口を開いた。