光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…単刀直入に言うね。 学園長とあたしが話していたことは……全部本当なの」
「………」
「笹川詩織は、確かにあたしのお母さん。 ピアノは習ったことがないって言ってたけど、本当は習ったことがある」
「………」
「ずっとみんなには、嘘をついてたの。 ……ごめんなさい」
あたしを中心にして周りに座っていたみんなに、あたしは頭を下げて謝った。
嘘をついて傷付けてしまったみんなを思う気持ちは、こうやって謝っただけじゃ全然足りない。
だけどあたしがまず最初に出来ることは、こうやって謝ることだった。
「頭上げてよ。 ね? 佐奈」
ずっと頭を下げていたあたしに、予想外の優しい声がかけられる。
少し驚いてゆっくりと頭を上げる。
あたしの目に最初に入ってきたのは、頬を緩めて笑うみんなの顔だった。
てっきりみんなはこんなあたしに呆れたり、怒ったりしているのかと思っていた。
だけど今、あたしの目の前にいるみんなは笑顔で。
驚いていたあたしは、更にきょとんとして驚いていてしまった。