光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「どうして、みんな――」



――笑顔なの?



あたしの言葉の最後は、またしても途切れてしまった。



だけど、みんながあたしの言葉を遮ったわけじゃない。



あたしの言葉を遮ったのは――自分の涙だった。



「佐奈…」



いきなり涙を流し始めたあたしを、みんなが驚きながら見つめている。



あたしだって、自分の身に何が起こったのかよく分からなかった。



「あれ…。 あたし、どうしちゃったんだろう」



目に溢れては零れてくる涙は、拭っても拭っても止まることはない。



ただみんなの顔を見る度に、涙は余計に流れてくるばかりだった。



「佐奈、泣かないで?
みんな、佐奈が嘘ついてたことに怒ったりしてないから。
だって、嘘ついてたのはちゃんと理由があるからでしょう?」



あたしの隣に座っている流歌が、泣き止まないあたしを見てなだめる。



気が付くと、明日美があたしの肩を優しく抱いてくれていた。



他のみんなも、心配そうにあたしの顔を覗き込んでいる。



そんなみんなのあたしに対する態度が目に入ってくると、あたしは余計に涙が止まらなくなってしまった。



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