光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「あたし、みんなは怒ってると思ってた。 みんなのこと、ずっと騙してたから…」
みんなに嘘をついていた事情は消えたりしない。
いくらみんなが優しくしてくれても罪悪感はなかなか消えなくて、あたしは少し俯き加減で喋り出した。
すると。
「さっきも言ったけど、みんな怒ったりしてないよ。
そりゃあ最初、学園長の口からあんな事実を聞いたら驚いたよ?
だけどね、みんな思ったことは同じ。
佐奈はきっと、何か事情があって嘘をついてたんだなーって。
だって佐奈は、理由もないのに嘘をつくような子じゃないもん」
みんなが言おうとしていることを纏めたように、流歌が懸命にあたしにそう言ってくれた。
「そうだよ。 びっくりはしたけど、全然怒ってないよ」
「佐奈ちゃんは、ちゃんと理由があって黙ってたんでしょう?」
周りにいるみんなを見ると、確かに流歌の言う通りだった。
みんな、あたしのことを信じてそう言ってくれる。
それだけのことが、何にも変えられないぐらいかけがえのないことだと思った。