光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…先生、ずっと前からここにいたんですか?」
鈴木先生は、あたしの伝言を学園長に伝えるために学園長室に向かった。
あたしがみんなに話をする、少し前に。
あたし達はだいぶ長い間話しこんでいたと思うから、その間に鈴木先生が帰ってきてもおかしくなかったはずだ。
だけど先生は話の途中では帰ってこないで、今この柱の陰から現れた。
…ということは。
「やっぱり、ばれちゃったわよね」
あたしの質問の答えにはちゃんと答えていない。
だけどがっかりした様子でため息をついているところを見ると、答えを聞いたも同然だった。
どうやら、あたしが思ったことは間違っていなかったらしい。
「先生、どうして戻ってきたのに講堂に入ってこなかったんですか?」
「そう言うけど、結構難しいものよ?
真剣な空気で話してる所に入っていくっていうのは。
それに佐奈ちゃんが泣き出しちゃって、余計に入りづらくなっちゃったしね」
泣いてるところ、見られてたんだ…!!
今さらだけど、みんなの前で泣いてしまった上に先生にまで見られていたことが、急に恥ずかしくなってきてしまった。
きっと頬が、真っ赤に染まっていると思う。