光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…でも、良かったわね、佐奈ちゃん。 みんなちゃんと理解してくれたみたいで」
「あっ、はい」
先生が見せた笑顔は、みんなに全てを話し終えた時のあたしよりもホッとしているように見えた。
きっと先生、あたしの話をほとんど聞いていたんだろうな…。
そう思うと、鈴木先生には申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
今までいっぱい嘘をついてきた上に、学園長室まで伝言しに行ってもらう羽目になって、おまけに先生にはちゃんと話が出来てないし…。
思い返せば思い返すほど、あたしは鈴木先生にずっと迷惑かけてばかりだ。
何一つちゃんとしたお礼だって、言えていない。
申し訳ない余りに会わせる顔がなくて、あたしは次第に俯いてしまった。
「――佐奈ちゃん、学園長が待ってるわ。
先生が学園長室まで案内するから、少し歩きましょう」
だけどそんなあたしに先生は気にする素振りもなく、そう言ったのだった。
でもそれは無関心なわけじゃなくて、あたしを気遣ってくれていたから。
そのことに気付いたのは、先に歩き出した先生の背中を見た時だった。
先生の背中は、後ろにいて安心できる、そんな温かくて頼りがいのある大きな背中だった……。