光を背負う、僕ら。―第1楽章―
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講堂を出た先には、とにかく長い廊下が続いている。
そんな廊下を、あたしと鈴木先生は少し距離を開けていながらも横に並んで歩いていた。
「………」
「………」
歩き出したのはいいものの、沈黙は思ったよりも長く続いた。
静寂な廊下だからこそ、余計に沈黙の存在が目立って仕方がない。
どうしよう…。
ここはあたしから話を切り出した方がいいのかな…?
一度はそう思うけど、何を話していいかは全く頭に浮かんでこない。
先生にだって、ちゃんと全てを話そうとは思っていた。
だけどこんな状況、こんな空気の中で話してもいいのだろうか…。
さっきとはシチュエーションがあまりにも違いすぎて、切り出すタイミングがなかなか掴めない。
それに友達に話すのと、先生に話すのでは全く違う。
同じ話をするにしても、やっぱり友達の方が気持ち的にも話しやすい部分がある。
だけど相手が先生になると、何かしら畏(かしこ)まってしまう自分がいる。
切り出せない大きな理由は、やはりそれだと思った。
…だけど。
チャンスは上手い具合に巡ってきたらしい。