光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「ピアニストになりたいって思ったとき、久しぶりにピアノを弾いたわ。
そして弾いてみて分かった。
…私には、この夢は叶わないって」



「そんな、どうして…」




“やってみなくちゃわからない”



その言葉を言おうとしたのに、不思議と声にすることが出来なかった。



何度も行動出来ずにいた自分の姿が頭に浮かんできて、その言葉をあたしが言っても何も意味がないように思えたから…。



あたしが何も言えずにぐずぐずしている間に、先生は話を続けていく。




「ピアノを弾いて最初に感じたことは、長年のブランクだった。
もう何年もピアノに触れることがなかった指は、完全に動きを忘れてしまっていたの」



「ブランク…」




それは誰にも、どうすることも出来ないものだった。



あたしは幸いそのブランクにぶつかることはなかったけれど、先生は目の前に立ちはだかるブランクに見事にぶつかってしまったんだ。



…だけど、ブランクは。



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