光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「そうやって私が戸惑っている間に、進路を確定しなくてはいけない時期になってね。
まだどうしようかと悩んでいた私は、担任の先生や両親、色々な人に相談していたわ」
「それで、反対されたんですか?」
「うん。 まぁ、そんなところね。
先生も両親も、あからさまには反対しなかったの。 “あなたの好きなようにしていい”って言ってくれたわ。
でもあれはきっと、誰も面と向かって“無謀な夢は諦めろ”って言えなかっただけなんじゃないかって思うのよ」
「………」
「あの頃は、大人って勝手だなって思った。
“夢を見つけて頑張れ”って言うのに、実際にはその夢を後押ししてくれないんだもの。
反対する場合だって、結構あるしね。
でもね、大人になったらあの時の大人側の意見が分かるようになったわ」
先生の表情を窺うと、子供が大人の階段を上りきった時の表情をしていた。
まだまだ子供であるあたしには出来ない、大人の表情。
だけど子供の意見を誰よりも共感して理解してくれる、そんな不思議な表情だった。