光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「大人はね、子供の可能性に任せてるの。 応援はする。 だけどあからさまには後押ししないのはそのため。
だって大人がどれだけ口出ししても、夢は本人だけのものだから」
「………」
「大人が反対をするときはね、子供が道を間違って逸れてしまいそうなとき。
そのとき大人は、子供が歩いている道に道標をくれているの」
先生の言葉を聞いて思い出したのは、紛れもなくお母さんのことだった。
……ねぇ、お母さん。
お母さんがあたしの夢を反対する理由は、先生が言う通りなのかな。
あたしがピアニストになりたいと思うこと。
東條学園に進学したいと思ったこと。
それは、あたしが道から逸れている…ということになるのかな。
あたし、分からないよ…。
好きなことを好きだと言えない。
そんな人生の道を歩いていくことのほうが、あたしにはよっぽど逸れているように思える。
鈴木先生が言っていたことは、頭の隅っこでは十分理解している。
だけど心は、
そんなの違う
そう叫んでいたの。