光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「さっき佐奈ちゃんがみんなに話をしているのを聞いちゃったから、佐奈ちゃんの事情はある程度分かったわ。
だからこそ、言わせてほしい。
――あなたの夢は、絶対に諦めないで」



「でも、先生…。 あたし、お母さんにこの夢を反対されているんです。
それに先生、さっき言いましたよね?
“大人が反対するのは、子供が間違った道に逸れたとき”だって。
…だったらあたしの夢は、間違っているのですか?」




自分では分からないから、誰かに教えて欲しかった。



“道を間違う”って、どういうことを言うのでしょうか。



法に触れたとき、ですか。


親の言う通りにしなかったとき、ですか。


無謀と言われる夢を追いかけたとき、ですか。



それを間違っていると言うならば、あたしは言いたい。



自分で決めた道を歩いていくのなら、それは絶対間違っていない…と。



たとえその道の先で、苦しいことや困難なことに出くわしたって。


どれだけ周りの人たちに非難されて、馬鹿にされたとしても。



いつか悩み苦しんだ先で、後悔することは必ずないだろう。



だって、自分が選んだ道を嫌いになるなんて出来ないから。



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