光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「ピアニストという夢を諦めた私がこんなことを言うのも気がひけるけど、それでも言いたいの。
佐奈ちゃんは才能だってあるし、ピアニストという職業に憧れているわけじゃなくて尊敬している。
そうやってしっかりした夢なら、簡単には諦めないで。 …私みたいに」



「先生…」




先生の言葉は、確かにあたしに向けられたものだった。



だけど同時にこれは、先生が先生自身に言い聞かせている言葉のようがした。



中学生の頃、志半ばに夢を諦めてしまった自分へのメッセージのように…。




「大丈夫です、先生。 あたし、決めているんです。 何があったとしても、諦めないって」



「そう…」




安堵のため息をついた先生を見てあたしは付け加える。




「反対されることは本当に悲しいし、応援して欲しい気持ちは変わりません。
だけど、誰かに応援されないと夢が叶わないって訳ではないから…。
だからあたし、絶対に諦めたくないです。 必ず、ピアニストになってみせます…!」




どこからこんなにも堂々と胸を張っていられる気力が湧いたのかは分からない。



でもこの言葉があたしの本心であったことには代わりがない。



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