光を背負う、僕ら。―第1楽章―
目指していた頂点
気が付くと、周りの景色がガラリと変わっていた。
ただ窓ガラスがズラリと並んでいるだけの廊下を歩いていたはずなのに、今は廊下の両側に部屋の扉をいくつか見かける。
時々、先生らしき人達ともすれ違った。
どうやらここは、講堂の方と比べて人通りが多いらしい。
「…佐奈ちゃん。 ここが学園長室よ」
「ふえっ?」
雰囲気が変わった廊下に目移りしていたあたしは、先生に話しかけられて思わず間抜けな声を出してしまった。
でもそのあとすぐに別のことに意識が向いてしまって、そんなことはすぐに忘れてしまう。
「えっ…。 こ…ここがそうなんですか?」
「えぇ、そう。 私も最初見たときは驚いたわ」
先生はそう言うけれど、声は全く頭に届かない。
あたしはただ口をぽっかり開けて、目の前のそれを見ていた。
あたしの目の前に現れたのは、とにかく大きい扉だった。