光を背負う、僕ら。―第1楽章―
先ほどまで歩いてきた廊下で見た扉でさえ、中学校で見かける扉の二倍の大きさがあって。
それだけでも十分、驚いていたというのに…。
この学園の扉は全てシンプルな茶色の扉なのに、昔のイギリスの貴族のお屋敷みたいなデザインが施されていて。
何だか時代を飛び越えてしまったような感覚に陥ってしまう。
だけど学園長室の扉は、さらにそれを越えていた。
扉の色は白地にマーブル模様があって。
その見た目はまるで大理石のよう。
おまけに金色の飾りで扉に華やかさを持たせている。
…一体この扉、いくらするのかな。
それに扉をこんなに豪華にする意味ってあるの…。
東條学園の敷地の広さや雄大で美麗な建物を見ていたときから、ここはお金持ちの学校だとは思っていたけど。
まさか扉みたいな部分までお金をかけているなんて…。
ひたすら目の前の扉に呆気にとられているあたしに、先生もかける言葉が見つからなかったのだろう。
同じように、迫力のある扉を見ていた。