光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…それに、ここからは自分の力だけで進むべきだと思うんです。 先生の力は借りずに、一人で。
正直に言うと、それとこれとがどう関係があるかって聞かれたら上手く説明出来ませんけど…」
自分が思っていることを上手く言葉で表せなくて、それ以上言葉を繋ぐことは出来なかった。
だけど、先生は。
「分かったわ。 だったら先生は、先に帰らせてもらうわ」
無条件でいつも、あたしの言葉を理解してくれる。
そして、信じてくれるんだ。
「――はい」
先に帰ると言ってくれた先生への返事は、今日一番の力強いものだったと思う。
先生は「頑張って」と言って、先程まで歩いてきた道を今度は逆に歩き出す。
「はい、頑張ります!!」
そんな去っていく先生の背中にお礼の意味も込めて、あたしはお辞儀をしながら見送っていた。
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「…よしっ!」
帰っていく先生の後ろ姿が米粒のようにしか見えなくなった頃。
あたしは自分に喝を入れて、再びあの大きな扉に向き合った。