光を背負う、僕ら。―第1楽章―
影の行き先
学園長との対談が終わって学園の外に出ると、空も道も、目に写るもの全てがオレンジ色に染まっていた。
「………」
長い緊張から解放された体はどこか疲れきっていて、一人で帰路を進む足取りは極めて穏やかだ。
アスファルトの上には今まさに空から姿を消そうとしている太陽の最後の光が降り注がれて、あたしの影を長く色濃く写し出している。
それは光とは逆の方に向いているはずなのに、あたしにはどうしても未来に繋がっているような気がした。
「佐奈」
あたしを染める夕日のような、温かくて優しい声が聞こえた。
影から目を離して顔を上げる。
するとそこには、ここにいるはずがないだろうと思っていた人達がいた。
「どうして……みんながここにいるの?」
予想外の出来事に頭が処理しきれずにいると、明日美と流歌があたしの元に近付いてきた。
「どうしてって、答えは一つにに決まってるでしょ?」
「佐奈を待ってたんだよ」
二人の言葉に、背後にいた吹奏楽部のメンバー全員が各々に頷く。
よく見るとその傍らに鈴木先生もいて、あたしは余計に驚いてしまった。