光を背負う、僕ら。―第1楽章―
先生には、先に帰って下さいって言ったのに。
みんなにだって直接その事を伝えている時間はなかったけれど、てっきり先に帰ってもらっているものだと思い込んでいた。
だけどみんなは、ここにいる。
ここで、あたしを待っていてくれた……。
「ちょっ、佐奈…。 どうして泣くのよ」
悲しいわけじゃない。
辛くて胸が張り裂けるわけでもない。
それでも瞳からは大粒の生暖かい滴が零れ落ちてきて、受け止めるように両手で顔を覆った。
みんながおろおろと戸惑っているのは気配だけで十分察知出来る。
みんなをこれ以上困らせたくなくて、首を横に振りながら、震える声でただ何度も“違う”と連呼した。
誰のせいで泣いているのかと問われれば、やっぱりそれは“みんなのせい”だと答えるかもしれない。
でも。
誰が悪いのかと問われれば、きっとそれは答えることが出来ない。
あえて答えを作るならば、きっと“自分”と答えるだろう。