光を背負う、僕ら。―第1楽章―
……学園長。
あたしはやっぱり、強くなんかないです。
そう見えるのはきっと、大切な人達の支えがあるから。
…だけど。
あたしはそんな大切な人達がいてくれるということを、きっと真剣に受け止めていない。
周りにある優しさにも気付けないなんて、最低だよね…。
そんな自分が弱くて情けなくて、みんなの優しさが辛くなるほどに感じられる。
そうしたら涙が、自然と溢れだしていたんだ。
ブレザーが汚れてしまうのも気にせずに涙を拭う。
「…みんなごめんね。 泣いちゃって。 ただ……嬉しかったの。 こんな時間まで、こうやってみんなが待っててくれるとは思わなかったから」
「何おかしなこと言ってるの。
友達なんだから、待ってるのは当たり前だよ」
「そうだよ、佐奈。
それにね、人見知りな佐奈が学園長と二人っきりで話すことになって、今頃緊張してるだろうなって考えると心配で帰れなかったんだよ」
みんなが当たり前に接してくれることが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。