光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…二人とも、ありがとう!!」
二人に、これでもかってぐらいの感謝の気持ちを込めて言った。
こんな言葉じゃ足りないだろうけど、本当にありがとう。
あたしが困ってたから、さっきみたいに言ってくれたんだよね。
本当は、二人に隠し事なんてしたくない。
だけどそれは、お母さんとの約束を破ることになる。
だからどうしても、二人には言えない。
そんなあたしに優しくしてくれた二人は、あたしにとって大事な友達だよ――…。
「そういえばさ」
二人に対しての感謝の気持ちに浸っていると、流歌が明るい声で切り出した。
「さっき佐奈が弾いてた曲って、なんて言う曲? 聞いたことのない曲だったけど」
「あの曲? あれは、あたしが作曲した曲だよ」
さらりとそう言うと、二人の足がぴたりと止まった。
二人が止まったことにより、あたしだけが一歩前に出る。
「ど、どうしたの? 二人とも…」
何事かと思ってそう言いながら振り向くと、そこには口をぽっかりと開ける二人の姿が…。