光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「「うっそー!?」」
二人がハモって出した驚きの声は、カラスも驚いて飛び立つほど大きくて、あたし達が歩く道に響いた。
もちろんあたしの耳にも、二人の声は響き渡る。
「な、なんなの!? そんなに驚いて!!」
意味が分からないあたしは、今も尚驚いた表情をしている二人に向かってそう言った。
だけど二人は、そんなあたしに興奮気味に言う。
「作曲したって……佐奈が?」
「うん。 さっきもそう言ったでしょう?」
「作曲したって、それすごくない!?」
「…そうかな?」
「うん! すごいよ!!」
二人はあたしを放ってわいわいと騒いでいた。
だけどあたしには、それがすごいことなのかよく分からなかった。
あたしはただ……。
思い付くままにピアノを弾いただけなんだけど……。
この時のあたしは、ただそんな風にしか思うことが出来なかった。
それは自分の中に秘められている才能に、
まだ気付かないでいたから――。
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