光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…はぁ」
あたしは小さくため息をつく。
けどそのため息は、すぐに周りの声に書き消されてしまった。
あたしはプリントを二つ折りにしてファイルにしまい、ファイルを机の引き出しに突っ込んだ。
あんなプリント、これ以上見たくない…そう思った。
「このプリントは、来週中に提出しろよー。 あと、よく無くすやつは無くすなよ」
キーンコーンカーンコーン…
先生がちょうど言い終わった時、チャイムが鳴った。
「きりーつ!」
室長が素早く号令をかける。
「気をつけ、礼!」
みんな軽く礼だけを済ますと、素早く休み時間ムードに入った。
あたしは礼を済ますと、自分の席に着いた。
机の引き出しから、次の授業で必要な物を出すのだ。
その最中、周りの声が自然に耳に入ってくる。
「ねぇねぇ、進路決めた?」
「うーん…、まだかな」
「おまえ、進路決めたか?」
「まぁ、一応な!」
様々な声が飛び交う教室で一番多い会話は、さっき配られた進路希望調査の影響によるものだった。
あたしにはそれがすごく耳障りに感じた。