光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「あれ、どうしたの? 帰ったんじゃなかったっけ? あっ、忘れ物?」



まるであたしの心でも読んだように明日美がその子達に質問する。



すると、その子達の中で中心的人物と言える女の子が口を開いた。



「ううん、忘れ物じゃないよ。 ピアノの演奏が聞こえてきたから、誰が弾いているのかなって思って戻ってきたの」



女の子はそう言いながら、つかつかとあたし達の傍まで歩み寄ってきた。



その後ろを、残りの女の子達がぞろぞろと付いてくる。



なんだかその姿が、親鳥の後について子鳥が歩く姿に重なって見えた。



あたしにはまるで親鳥のように見える女の子の名前は、戸沢 小春。



彼女は吹奏楽部の部員でもあるけれど、吹奏楽部の部長でもある。



彼女は吹奏楽部の中でも一際目立つ存在だけど、学年の中でも一際目立つ存在だ。



勉強においては、いつでもトップを取るほど優秀。



いくら成績がいい方のあたしでも追いつけないぐらい、とにかく賢い。



勉強だけではなく、スポーツも万能だ。



体育の成績もさぞかしいいことだろう。



体育の成績だけがいつも悪いあたしとは大違い。



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