光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「なんだか佐奈ちゃんの演奏聞いたら、あたしもピアノ弾きたくなっちゃった。 佐奈ちゃん、あたしも弾いていいかな?」



あたしがいろいろと考えていると、小春ちゃんは無邪気にそう言った。



「いいよ」



あたしが椅子から立ち上がると、次は小春ちゃんがその椅子に座る。



するとその場にいたみんなが、歓喜の声をあげた。



「えっ!?小春ちゃんの演奏が聞けるの!?」


「やったー!!」


「わぁ!すごくラッキーだね!」



小春ちゃんと一緒にやってきたみんなが、とても嬉しそうにそう言った。



それだけではない。



あたしの演奏を聞いた彩愛ちゃん達も同じように言っているのだ。



あたしがピアノを演奏すると知った時よりも、とても嬉しそうに。



「みんな、そんなに期待しないでね」



歓喜するみんなを、小春ちゃんはそう言って宥める。



そんな中、明日美と流歌だけは平然としていた。



小春ちゃんとピアノを囲むみんなから離れた場所に移動するあたしに、二人は歩み寄ってくると小声で言った。



「なんかみんな、佐奈の時より嬉しそうだね」


「ほんとほんと」




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