光を背負う、僕ら。―第1楽章―
二人とも、なんだか不満そうだ。
二人とも、みんなの態度があたしの時と小春ちゃんの時とで違うから、それを気にしてくれているのだろう。
だけどそんなこと、あたしはちっとも気にしていなかった。
「しょうがないよ。だって、あの小春ちゃんだよ? あたしの時より喜ぶのは当然だよ。 小春ちゃんはなんていったってあの……」
♪~♪♪♪~♪♪~♪
二人に対して喋る途中、あたしの言葉がピアノの音に遮られた。
小春ちゃんの演奏が始まったのだ。
♪♪~♪~♪♪~♪♪
その場にいたみんなはもちろんのこと、あたしも言葉を失っていた。
それぐらい聞き惚れてしまう演奏だった。
みんなは静かに耳を澄して小春ちゃんの演奏を聞いている。
…これ、何ていう曲だっけ?
クラシックの曲だけど、えっと……。
曲名を覚えるのがどちらかと言えば苦手なあたしは、そんなことも考えたりしていた。
でもそんなことよりも、気にしていることがあった。
小春ちゃんの演奏、やっぱりすごい。
同じピアノなのに、あたしより澄みきった音を出している。
高い音も低い音も、限り無く澄み切っていた。