光を背負う、僕ら。―第1楽章―
“受験生”と“進路”。
この二つの単語は、今のあたしにとっては耳障りでしかない。
中学三年生になってから、三週間近く経った。
もちろん中学三年生といえば、受験がある。
今の時期は、みんな目標や夢に向かって頑張り始める時期だ。
だけど、あたしの場合は違っていた。
目標や、夢なんてない。
そう、夢なんて――…。
「ここはテストに出すからなー」
数学の先生が公式を指差しながら言う。
あたしはそれをノートに素早くメモをした。
今は早くも、今日最後の授業の時間。
眠たいのかして、机に顔を伏せている人が多い。
授業中に寝たことのないあたしは、よく授業中に寝られるなー、と思いながら、先生の声に神経を集中させる。
あたしは、根っからの真面目だ。
ロングの髪の毛はきっちりと二つに結び、スカートの長さも規定通り。
性格は大人しいし、授業も真面目に受ける。
誰が見たって、真面目と言うだろう。
だけど、好きでこんな風に真面目でいるわけではない。
すべて、両親の言う通りにしているだけだ。