光を背負う、僕ら。―第1楽章―
母の秘密
…突如開いたドアの音。
その音にとっさに反応して、音楽室の出入り口である唯一のドアを見る。
……あれっ。
開いて……ない?
視界に捉えたドアは、きっちりと閉まっていた。
もちろん開けたような形跡も残っていないし、周りに人の姿も見当たらない。
……おかしい。
確かにドアが開く音がしたはずなのに。
古びたドアが作り出すあの金属音を聞きまちがえることなんて、まず有り得ない。
だったら、一体…。
「二人とも上手いわねー」
「…!?」
あたしやみんなが不思議そうにドアを見つめていた時だった。
不思議なことに、突然あたし達の背後から声が聞こえてきたのだった。
いきなりのことに、あたしの心臓はバクバクと高鳴っていた。
うるさい心臓を落ち着かせながら、ゆっくりと声が聞こえてきた方に振り向く。
するとそこには、見慣れた人物の姿があった。
「…鈴木先生!?」
振り向いたあたしは、そこにいた人物の名前を思わず叫んでいた。