光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…せっ、先生!! いきなりそんな所に立ってたら、驚くじゃないですか!!」
あたしと同じように振り向いた明日美が、心底驚いた表情で言った。
その場にいた他の子達も、いきなり登場した鈴木先生にかなり驚いているみたいだった。
「…それにしても先生、いつの間に音楽室に入ってきたんですか?」
一番疑問に思っていたことを尋ねた。
さっき音楽室の出入り口であるドアを見た時は、誰の姿もなかった。
先生は、いつ入ってきたんだろう?
まさか、あたし達が気付かないようなスピードで入ってきたとか?
少し現実離れしたことを考え出した時、鈴木先生が尤もな答えを言った。
「ずっとここにいたのよ」
鈴木先生はそう言って、自分の背後にあるドアを指差した。
「そのドアって、音楽準備室に繋がるドアですよね?」
「そう。 私、ずっとここにいたの」
…そっか、納得。
さっき聞こえたドアが開く音は、そのドアが開いた音だったんだ。
……って、あれ?
先生さっき、ずっと準備室にいたって言っていたよね?
つまり、あたしの演奏も聞かれていたってことなの?