光を背負う、僕ら。―第1楽章―
二人の親友
気が付くと足は少し急ぎ足に変わって昇降口へと向かっていた。
「待たせちゃってごめんね!!」
昇降口に着いた時、すかさず二人に向かってそう言った。
「全然いいよー」
二人が笑顔でそう答えてくれて、内心ホッとする。
だけどその直後、二人から少し離れた場所に佇む人物にあたしの視線が奪われる。
どうして……ここに。
そこに立っていたのは、紛れもなく伸一君だった。
あたしが伸一君の姿をしっかりと捉えると、またもや目が合ってしまった。
ドキッ…
突然のことに、また鼓動が速くなる。
でも平然を装って、下駄箱からスニーカーを取り出した。
そして取り出したそれを地面に置く時、チラッと伸一君を見る。
さっきとは違う反応をしてくれることを、少しだけ期待しながら…。
だけど伸一君はすでに何ともなかったように、昇降口から見える外の景色をぼんやりと見つめていた。
やっぱりそうだよね…。
膨らみかけた期待という名の風船が、空気が抜けたように徐々に萎んでいく。
あとに残るのは、期待はずれという名のくたびれた風船だった。
あたしは何事もなかったようにスニーカーに足を入れる。