光を背負う、僕ら。―第1楽章―
自分の足元を見たあたしは、あることに気付く。
スニーカーの靴紐が、見事なまでに解(ほど)けていた。
どうやらこの解(ほど)けた靴紐を踏み、すっころびそうになったらしい。
「原因、これみたい」
あたしがそう言うと二人もあたしの足元を見て、納得したように頷く。
とりあえず、結ばなくちゃ。
「スクバ、持ってようか?」
「うん、ごめんだけどお願い」
靴紐を結ぼうとしゃがみかけたあたしを、流歌が気遣ってくれた。
「重いかもしれないけど…」
流歌の言葉に甘えて、持っていたスクールバッグを預ける。
そして人が来た時に邪魔にならないようにと昇降口の端へと移動する。
それからその場でスカートを気にしながらしゃがんだ。
中途半端に解(ほど)けている靴紐を、一度ちゃんと結べる所まで解(ほど)く。
すると、賑やかな女子の喋り声が近付いてきた。
声を聞いた時、嫌な予感が脳裏をよぎる。
だけどその時にはもう、下駄箱の影から声の主達が現れていた。
「あっ、伸一!」
「小春、遅かったじゃん」
会話は、どんな声よりも耳に鮮やかに聞こえた。