光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「チャイムも鳴ったことだし、今日はここまでにします。 23ページの問3は宿題にするのでやっておいて下さい」
数学の先生はそう言いながら、手に持っていた長めのチョークを黒板の溝に置く。
その時に鳴る独特の金属音が、やけに響いたように感じた。
そう感じながら前の黒板に視線を向けた後、自分のノートに視線を移す。
黒板にはびっしりと式が書かれている。
けどあたしのノートには、その半分の内容しか書かれていない。
しまった…。
余計な事ばかり考えすぎた。
けど今さらそんなことを考えたって、どうしようもない。
「室長さん、号令をかけて」
「きりーつ」
先生が教科書を閉じながら言うと、室長はハキハキとした元気な声で号令をかけた。
さすがに寝ていた人達もその声で目が覚めたらしく、ガタガタと音をたてながら立つ様子が見られる。