光を背負う、僕ら。―第１楽章―

だったらなおさら、早くこの紐を結んでしまわないと…。




そんな中、坦々と二人の会話が進む。




「ピアノ？…あぁ、そういやさっき聞こえてたな。でも、なんで急に弾いたりしたんだ？普段は普通、弾かないだろ？」



「急に弾きたくなっちゃったの。佐奈ちゃんの演奏聞いてたら。」



「…えっ？」





驚きの声を発するのと同時に、靴紐を結び終わる。



あたしは突然二人の会話に自分のことが出てきたことに驚きながら、その場で立ち上がった。



急に立ったことにより、たちくらみがあたしを襲う。



だけど今は、そんなことを気にする余地もない。



小春ちゃんはあたしを見ながら「ねっ？」って微笑んで相槌を求めてくるし、伸一君も不思議そうにというか、興味深そうにあたしを見てくる。



あたしの傍にいる明日美や流歌まで、驚きの表情であたしを見てくる。




どうしてみんな、あたしばっかり見るの～…。




そう思ったって、みんながあたしを見るのをやめることはなかった。



とりあえず、相槌を求められている小春ちゃんに答える。




「…うん。そうだね。」