光を背負う、僕ら。―第1楽章―
だけど、三人の伝言ゲームは終わらない。




「あれは佐奈だね。一番暗い顔してるし。」


「してないよ!暗い顔なのは流歌だし。」



「あたしじゃないよ、やっぱり明日美だよ。」



「でも、佐奈ため息ついたでしょ?」



「いやいや…。流歌だってため息ついたし。」



「そういう明日美もついてたよ。」




伝言ゲームは、だんだんとエスカレートしてきた。



これではただの、なすり付けあいだ。



ため息一つが、だんだん大袈裟になってるし…。




「やっぱり佐奈だと思うんだけどなー。」



「ストップ!!」




伝言ゲームが悪化することを見込んで、あたしは自分の番にそう声を張り上げた。



二人はそんなあたしをキョトンとしている。



でも、『やっと終わった』って顔だった。



きっと二人とも、誰かが止めてくれるとでも思っていたのだろう。



その役目は、見事にあたしとなった。




「もういいじゃん。ため息のことなんて。どうせみんなため息ついたんだし。」



「そうだね、もういいっか。」




明るい明日美の声は、静かな校舎には不似合いに感じられた。




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