光を背負う、僕ら。―第1楽章―
自分を表せるもの
夕焼けでオレンジ色に染まった道を30分程度歩くと、家に着いた。
チョコレート色の屋根とクリーム色の壁で出来た、こじんまりとした家だ。
でも、親子三人で暮らすにはちょうどいいサイズでもある。
玄関の前に着いて、インターホンのボタンを押す。
ピンポーン……
家の中に鳴り響くチャイムの音が、外にいるあたしにまで聞こえてきた。
そしてパタパタという足音が玄関に近付いてくると、ドアが開いた。
「おかえり。」
中から出てきたのは、お母さんだ。
お母さんのショートの髪の毛が、外の風で揺れる。
ピアニストだった時はサラサラのロングヘアーだった。
だけど専業主婦になった今は、いつもさっぱりした髪型にしている。