追っかけバンドマン
「……」
「……」
お互いに黙って、2人の間に微妙な空気が流れる。
あたしわバカだ。
あの日、楽しんで歌うことだけ考えよう、そう考えたのに…、沢北さんと比較ばっかして…、周りの目ばっか気にして……
こんなのあたしのやりたかったことじゃない…!
あたしがしたかったことわ……
「沢北さん…。」
「あたし間違ってました。
楽しんで歌えないのわ、全部自分が楽しもうと思わなかったから。
なのにっ…」
「美香ちゃん、もういいよ。」
よくなんかない。
あたしわ、完全燃焼することなく、今日のことを後悔してしまう。
だから、だから…
「もう1回、いや最後まで沢北さんと一緒に歌いたいんです。
人となんか比べないで、歌うことを楽しんで。」
「美香ちゃん…」