追っかけバンドマン


「でも、あたしわお母さんがなんと言おうが、諦めるつもりわないから。


どうしても納得してくれないお母さんにあたしわそう吐き捨てて、わざと大きな音をたてて階段を登って、わざと大きな音をたてて、部屋のドアを閉めた。




結局、ギターの話しまで持ってけなかった……

と、いうことわ、毎月3千円のおこずかいを少しずつ貯めていくしかないのか…。



でも、そしたら、当然オーディションにわ間に合わない。沢北さんのギター1本だけで受けることになってしまう。


なにか、効率的にお金が貯まる方法、何かないかな……。


トントン

「美香、入っていいか?」

お父さんの声だった。
下で2人が話しているのわ、微妙に聞こえてきていた。
きっと、その結果報告をしにきたんだ。


「いいよ。」


お父さんわあたしの部屋に入ると、ベットに座りあたしの顔を見て、微笑んだ。


「美香、父さん前にも言ったように、ケガしたせいで甲子園いけなくて、すごく後悔したんだ。
高校生活わ、野球が中心だった。毎日練習して…。
だけど、完全燃焼する前に終わったんだ。
完全燃焼出来なかった。

そしたら、この3年間わなんだったんだ、ってすごく思うようになった。毎日が後悔の連続だった。
試合に負けたから悔しいんじゃない、試合に出れないで、この3年間の練習の成果を出せなかったことが悔しいんだ。

だからね美香、成功してもしなくてもどっちでもいい。だから精一杯自分の出来る限りの力を振り絞って、頑張りなさい。
後悔しないように、挑みなさい。
そして、完全燃焼をしなさい。

お母さんわ、父さんが説得するから。」



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