追っかけバンドマン
「うんっ、頑張る。あたし、最後まで挑戦し続ける。」
そう言った瞬間、涙がこぼれた。
何の涙なのか自分でも分からない。
お父さんの話しに対して、感動した涙なのか、
それとも、お父さんに対する感謝の涙なのか。
「それじゃ、勉強もするんだぞ。」
お父さんわそう言うと、ベットからたってドアノブに手をかけた。
「ま…待って!」
ギター代金、お父さんに頼むしかない。
それ以外の方法なんて他にない。
「どうした?」
「あのね、ギターが欲しいの。3万円くらいするんだけど…あと、1万円くらい足りたいんだ。
だから、お願いっ!!必ず返すから、お金貸してください!」
目をギュッとつぶって、手を顔の前で合わせる。
「お願いっ!」
「ふぅー、全く仕方ないなぁ、それどうしても必要な物なのか?」
「うん。」
「それなら、いいだろう。買ってやる。
その代わり、大事に使えよ?」
「分かってる。自分の命より大切にする。
って、買ってやるって今言った?」
「父さんが買ってやるって言っているんだ。
いいのか?自分のお金出しても。」
「えっ…、でも……」
「子供が変な心配しなさんな。父さんにも協力させて、なっ?」