追っかけバンドマン

もう1人



「そう、今の感じ。良かった。」


「えっ?本当!?やった。」

最近わギターの練習のための日々が続いている。

コードとかも覚えるのが難しくて、学校でも家でもギターで頭が一杯。

でもそのお陰で、沢北さんに褒められる機会も増えてきて、充実した毎日を過ごせている。


「じゃ、この曲合わせてみよっか。」

沢北さんの言う、この曲とわ『初めてのギター』に載っている、星が5つのうち、2つの曲のこと。


「はい。」


「じゃいくよ、1、2、3…」


その瞬間にきれいなベースの音と、少しリズムの悪いギターの音がシンクロした。


きもちい……

そのシンクロわとても気持ちよくて、何回だっても聞いても飽きない。




でも……


弾き終わると沢北さんが少し眉を動かした。


「あたし、ダメでしたか…?」

大体こうゆう顔をしたときわ、ダメ出しをされる。

「ん、いや。すごく良かった。美香ちゃんわ、すごく成長したと思う。」


「えっ!ほんとですか?」


「うん…、だけどなんか、足りないきがする。」

顔をしかめる沢北さん。


何かが足りない


確かにあたしも、弾いているとき、寂しく感じた。
なにかが足りないって、あたしも思った。



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