追っかけバンドマン


えっ、ちょっと…、なんで――?


カラオケ屋の部屋の扉を開けた瞬間、あたしわ一瞬事態が飲み込めなかった。


「ちょっ!!みさき!なんで?」
周りの人に聞こえないくらい小さい声で、みさきをにらみつけながら話し掛けた。


「へへ、ごめんね。だってマリンが、急にだめになちゃって…。
今度なんかおごるからさ!ねっ?」


「や、無理!あたし、帰るし。じゃね。」


「なんで、お願い!一生に一度のお願い!!!帰らないで!美香も彼氏ほしーって言ってたでしょ?」

すがるように、肩に手をおいて、説得するみさき。

残念だけど、そんな言葉で、心1mだって動かされないよ。


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