ただすきだから・・


しばらく、そのままだった。 そりゃ、離れようと思えば、すぐに離れることもできた。 でも今は、奈由とこうしていたかったんだ。




すると突然、ガバッと勢いよく奈由が離れた。


…ちょっと残念。

って!!俺は何を考えてるんだ!!と自分に活を入れる。
相手は奈由だぞ!? 悠里の…妹なんだ。




「ご、ごめんっ! あたし、何して…/// あ~もっ、ごめん! 今の、忘れてっ」



顔を真っ赤にさせて、めちゃくちゃ噛んで。


忘れて、なんて言われても…やべぇ…



でも、必死になってるその光景がなんだか面白くてつい笑ってしまった。



「ふっ」



けど奈由は、そんな俺の様子すら目に入らないように必死で。



「ごご、ごめんねっ じゃっ」



そう言って一目散にエレベーターホールに走っていった。


いつもと違う奈由に。




「かわいー奴」




とか思ってる自分に、再度、活を入れた。



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