ただすきだから・・
* *
それからしばらく、こうしていた。
だんだん、意識がハッキリしてくると、自分がしていることの大きさに気がついた。
今、思うとあたし、すっごく恥ずかしいこと、してない…?
そう思ったあたしは、バッと勢いよく体を離す。
「ご、ごめんっ! あたし、何して…/// あ~もっ、ごめん! 今の、忘れてっ」
恥ずかしすぎて、やばい。
すきなの、バレるんじゃないかってくらい、顔が熱くなるのが分かる。
「ふっ」
笑う秋人のようすすら、目に入らない。
「ごご、ごめんねっ じゃっ」
そう言ってあたしは、一目散にエレベーターホールに走っていった。
「かわいー奴」
後ろでつぶやく、秋人の声なんてまったく聞こえてなかった。