あなたのペット的生活
回れ右をして肩をがっくりと落として家に帰る。
「乃亜ちゃん!!孝二はっ?!」
落としていた肩をがっしりと両手で掴まれ、切羽詰った表情で私を下から見上げてくる。
「……いっちゃった」
よくよく見るとおばさんの髪は乱れまくっていた。
おばさんも必死に孝ちゃんを探したんだろう。
「……そうかい」
おばさんはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
肩がガタガタと小さく震え、背中が小さく丸まっている。
「乃亜ちゃん、ありがとねぇ」
おばさんの消えちゃいそうなくらい細い声は私の心をぎゅううううっと握り締めた……ような気がする。
ありがとうと言ったおばさんは今、何を思っているんだろう。