執事とお嬢様、それから私
「まったく…危なっかしい方、ですね」
頭の上から降ってくる笑みを含んだ低く滑らかな声
僅かにムスクの香りがして、目眩がした
「あ、すみません」
と慌てて離れる。
繋いだままの手が、熱い。
なんか今日私はこの人に謝ってばかりだ。まぁ、当然だけど。
「お部屋までお送りしましょう。何階ですか?」
そっと触れるか触れないかのギリギリのラインで腰に添えられる手。
高鳴る胸の正体は…?
この人がイケメンだから?
優しいから?
それとも…
熱に浮かされた私は小さく自分の部屋の番号を呟いた。