執事とお嬢様、それから私
「クシュンッ」
うーさむっ。なかなか開かない重い瞼を開け、上半身を起こすとズキリと頭が痛み、私はまた身を沈めた。
「ソファーで寝ちゃった…」
あれからお風呂にはいって、ソファーでテレビみて…そのまま寝たらしい。
懐かしい夢を見た。1年とちょっと前の話。
ヒリヒリ瞼が痛む所をみると泣いてたんだな、とわかった。
ダルい体は少しも動かず感じる寒気が完全に風邪をひいた事を告げていた。
「10月にソファーは無謀だったか…」
本日何度目かの独り言を呟き、のそのそと這うようにベッドに向かう。
あぁ本当なら、私は今頃東條さんとこのベッドでおはようを言い合ってたんだろうか。
私がこんな状態でも、きっと東條さんにはお嬢様の方が大事なんだろうな…
襲う寂しさを打ち消すかのようなだるさに私は静かに目を閉じた。